好きなことで仕事しています。 -オタク社長の奮闘記-

by 企画制作会社セブンデイズウォー代表取締役、クイズ専門誌『QUIZ JAPAN』編集長、クイズ作家の大門弘樹

『オバケのQ太郎』復刊までの遠い道のり

6歳の娘が藤子不二雄にハマっているので、昨日、この本をプレゼントをしました。

こちらの漫画です。

 

オバケのQ太郎  

 

 

このオバケのQ太郎という作品は何度もTVアニメ化されていますので説明不要だと思いますが、実はコミックスが長らく絶版になっていたということをご存知でしょうか?


1980年代に子供だった我々の世代は、ドラえもん『忍者ハットリくんらと並ぶ藤子アニメの一つとして認識しているので今一つピンと来ないかもしれませんが、もともとオバQは、スタジオゼロという会社の雑誌部によって生み出されました

スタジオゼロとは、藤子不二雄鈴木伸一石ノ森章太郎つのだじろうといった、トキワ荘のメンバーが1963年に設立したアニメ・漫画の制作プロダクション。

 

時代的にも、手塚治虫虫プロダクションへの憧れがあったのだろうなあというのが想像できますね。


オバQは、その他の藤子作品とは違い、成立の経緯がかなり特殊なのです。

まずストーリーは藤子・F・不二雄が考えており、どこか全体のテイストが、のちの『ドラえもん』に似ているのはそれが理由でしょう。

そして初期の頃は、藤子・F・不二雄がQ太郎を、藤子不二雄Aが正太を描いていたそうです。

 

ただ、藤子不二雄による合作は他にもないわけではないのです。

驚くのはここから。

なんと赤塚不二夫が背景を、そして石ノ森章太郎つのだじろうがその他のキャラクターを描いていたそうです!

確かに1巻を読むと、明らかに石ノ森章太郎が描いているサブキャラが出てきます。

つまり、『オバQ』とは、「石ノ森章太郎らがアシスタントを務めた藤子不二雄の合作」なんです。

かくして生まれた『オバQ』は、1969年に虫プロ商事が発行する虫コミックスから全12巻で初めて単行本化されました。

その後、小学館の「てんとう虫コミックス」から全6巻の傑作選が、そして中央公論社の「藤子不二雄ランド」から再び全12巻が発行されました。

ところが、これらの単行本が1990年代に入り、入手困難となります。

ドラえもん』などの藤子漫画を発行する「てんとう虫コミックス」版もなぜか絶版。

理由は不明ですが、とにかく25年近く、オバQが気軽に読むことができなくなっていました。

そして時は流れ、2009年に藤子・F・不二雄大全集」の刊行にともない、再び単行本化され、長年待ち続けたファンの喝采を浴びました。

著者名のクレジットには、藤子・F・不二雄藤子不二雄Aの2人の名前が入れられていました。

 

おそらく、権利的にも、この2人が作者であることを、その他のトキワ荘のメンバーも認めているということの証なのでしょう。

 

今回のてんとう虫コミックスの新装版は、大人向けの分厚い「藤子・F・不二雄大全集」とは異なり、今の子供たちが読みやすい仕様になっています!

しかも内容は、虫コミックス版全12巻の内容をそのまま収録。

驚くことに、表紙をめくったところの著者コメントも、69年の虫コミックス版のものが再録されているのです!

半世紀も前の漫画がほぼそのままの形で復刊されるということが、いかに藤子漫画が古びていないかを証明しています。

ドラえもんよりも一昔前に描かれているため、オバQは、もっと牧歌的で、子供たちが子供らしい印象があります。

子供が最初に漫画を読む時期に、オバQが再刊されたことを本当にうれしく思います。